masuika.org つれづれぶろぐ

さぬちゃんの麻酔科医生活

麻酔科専門医/指導医

麻酔薬投与開始前の「3分間の酸素投与」してますか?

事件は現場で起きていた とある施設でのこと。 導入担当の先生が麻酔器の前に立ち、いよいよ麻酔開始という場面でした。 …あれ? よく見ると、マスクでの酸素投与をスキップして、いきなり静脈ラインからレミフェンタニルとプロポフォールが流れ始めたんです…

硬膜外フェンタニルとPONV──「階層化」で考える予防と治療

硬膜外フェンタニルシリーズ第3弾は、 PONV(術後の悪心おう吐)対策です。 「硬膜外入れてるのに吐く」 「フェンタニル使ってないのに気持ち悪がる」 「とりあえずオンダンセトロン入れとけば?」 このあたり、なんとなくの経験則で動いている人は多いはず。…

ECTの麻酔、点数はどう算定する? 令和8年6月改定

さぬちゃんです。 今日は精神科のmECT(修正型電気けいれん療法)の麻酔の診療報酬について、令和8年(2026年)6月改定をふまえて整理しておく。 ECTの麻酔って、プロポフォール(またはチアミラール)とスキサメトニウムでパッと数分で終わるよね。短時間だ…

I-DECIDEDって何?

ここ数回、「末梢ルートは期間で抜くな、所見で抜けという話」をしたところ、その中に出てきたI-DECIDEDを、もっと詳しく教えほしいというご要望をいただきました。 この "I-DECIDED" を、背景から 使い方まで、つれづれに解説します。 末梢ルートは「世界で…

硬膜外フェンタニルは原液? それとも薄める? ── 容量と濃度を薬物動態で考える

前回からのつづき。硬膜外フェンタニルについて、もう一つよく聞かれる素朴な疑問があります。 フェンタニル 100 μg を硬膜外に入れるとき、原液(50 μg/mL)で 2 mL のままドンと入れていいの?それとも生食で薄めるべき? これは「投与量」とは別の、容量(ボ…

結局どうなったら刺し替える?——抜く理由と"血管を残す"という発想

masuika.org 前回↑、末梢ルートもミッドラインも、ルーチンに取り替える時代じゃない。臨床所見で抜く[1][2][8]と書きました。 「決まった期間で抜かないのは分かった。じゃあ、一体何を見て"刺し替える"?」と言われそうなので、それについて書いてみ…

末梢ルートは72時間、ミッドラインは2週間で交換——本当?

末梢ルートは72時間、ミッドラインは2週間で交換——本当か?

硬膜外フェンタニル 100 μg で「麻酔から覚めない」は本当か?

こんにちは、さぬちゃんです。驚きましたね!chatGPTが巨人軍監督を解雇に追い込んだ話。 さて、 前回の記事 で、「硬膜外フェンタニルは持続だけでは効かず、ボーラスで初めて脊髄性に効く」ことを書きました。これに関連して、以下の様なもっともらしい指…

硬膜外フェンタニルは「ボーラスでないと効かない」──作用部位が投与法で変わる話

こんにちは、さぬちゃんです。 少し前にXのマクラで話題になったネタです。麻酔科の現場で意外と語られないけれど臨床で必ず一度はぶつかる、硬膜外フェンタニルのボーラス投与の話です。 硬膜外カテーテルからフェンタニルをチョロチョロ持続で 20 μg/h だ…

PK/PDシミュレーターをmsanuki.com/PKPD/で公開しました

~ブラウザだけで動く、TCI・手動投与・CSHT/CSDT のオールインワン~ 管理人です。ようやく公開にこぎつけた。 msanuki.com/PKPD/ に、PK/PDシミュレーターをアップした。今回は、インストール不要・登録不要・課金もなし。HTMLファイル1枚で動く、ブラウザ…

McGRATH MACって、骨董鏡(Macintosh)と同じ?── ビデオ喉頭鏡時代の「見える」と「入れる」は別

McGRATH MAC(Medtronic)が手術室の標準装備になって、もうずいぶん経ちます。ブレードが「Macintosh曲型」だから、つい研修医にこう言ってしまうことありませんか。 「Macintoshと同じように使えばいいよ」 ──いや、ほんとうにそうなんでしょうか。 私自身…

文献AIツール、結局どう使い分ける? Elicit、EndNote、scite、SciSpaceの役割整理

こんにちは、さぬちゃんです。 昔は、麻酔科以外の領域の先生から「あのEndNoteの先生ですか?」と確認されることが、けっこうありました。 最近でも、年配の先生には、たまにそう言われることがあります。 もちろん私はEndNoteの開発者ではありませんし、Cl…

ESAICも日本麻酔科学会も推奨!「NEWS」から「NEWS2」への進化——術後管理で何が変わったのか?

こんにちは。さぬちゃんです。 最近、週末ごとにMac miniとBeelink GTR9 Proを並べてローカルLLM(大規模言語モデル)環境を構築する沼にどっぷりハマっておりまして、気がつけばデスクの上がちょっとしたデータセンターみたいになってきました(笑)。AIの…

【お知らせ】『麻酔科研修チェックノート第8版』をお持ちの皆様へ!ASA-PS分類改訂に伴う正誤表のご案内

皆さん、こんにちは。さぬちゃんです。 最近は、カリタのグラインダーで挽き具合を微調整しつつ、4:6メソッドで淹れたスペシャルティコーヒーで朝の気合を入れるのが日課になっています。皆様はいかがお過ごしでしょうか。 さてさて、今日は当ブログを読んで…

小児周術期ワクチンスケジュールの統一見解が出た!

小児麻酔を担当する麻酔科医にとって、術前評価の外来で必ず直面する悩ましい問題があります。 「先生、来週手術なんですけど、患者さんが昨日インフルエンザの予防接種を受けちゃいました。手術できますか?」 「1ヶ月前に麻疹のワクチンを打ったんですが、…

ASA PS分類が2026年1月号のAnesthesilogy OPEN 創刊号に掲載されています

麻酔科領域における術前評価の基本であり、世界中で広く用いられている「ASA PS(Physical Status)分類」ですが、最新のステートメントが2026年1月号の Anesthesiology OPEN 創刊号に掲載されました [1]。 American Society of Anesthesiologists Statement…

麻酔科学サマーセミナーとは何か:22回全出席の世話人が語る、日本全国の麻酔科医のオフラインミーティング

「麻酔科学サマーセミナーって何ですか?」 「サマーセミナーって、学会なんですか? セミナーなんですか? それとも……遊びですか?」 答えは、そのすべてです。そしてそのどれでもない、唯一無二の存在です。 麻酔科学サマーセミナーは、2004年の第1回開催…

麻酔の深度、気道確保デバイスの有無及び麻酔管理体制に応じた保険診療評価に見直し

中央社会保険医療協議会から、麻酔科に関する診療報酬改定が発表されました。 https://www.mhlw.go.jp/content/10808000/001655176.pdf(p444-447) 私がまとめた表です↓ 麻酔の深度、気道確保デバイスの有無及び麻酔管理体制に応じた保険診療評価の見直し 区…

アラグリオ®(5-ALA)内服後の全身麻酔導入——麻酔科医への警鐘(2)

同じ薬なのに、なぜ?——脳外科でアラグリオによる低血圧が「起きない」ように見える謎 脳外科の先生方の中には、「私たちの科でもアラグリオを日常的に使っているけれど、そんなに血圧が下がることは経験したことがない」と不思議に思う方がいるかもしれませ…

アラグリオ®(5-ALA)内服後の全身麻酔導入——麻酔科医への警鐘(1)

ノルアドレナリンの末梢持続投与が増えた日常から 最近、ノルアドレナリンを末梢ルートから持続投与する機会が増えた。以前なら、末梢からのノルアドレナリン持続投与といえば、ICUで中心静脈を確保するまでの「つなぎ」か、心臓手術後の限られた場面に限ら…

さぬちゃん本20260112

やさしくわかる!術中脳波モニタリング 作者:讃岐 美智義 Gakken Amazon 麻酔科薬剤ノート 第3版〜周術期の麻酔・救急対応薬の使用のポイント 作者:讃岐 美智義 羊土社 Amazon 麻酔科研修チェックノート 改訂第7版〜書き込み式で研修到達目標が確実に身につ…

ETCO2 30mmHg、許容範囲? それとも危険信号? 〜術後合併症と関連する低CO2のリスク〜

「ETCO2、30から35mmHgくらいで管理しておけば大丈夫だろう」 多くの麻酔科医が日常的にそう考えているかもしれません。しかし、その「何となくの正常範囲」が、実は患者の術後肺合併症(PPCs)、せん妄、さらには死亡リスクの上昇と関連しているとしたら…?…

ビデオ喉頭鏡の評価はVCIスコア (Video Classification of Intubation)へ

ビデオ喉頭鏡(VL)が標準装備となった現在、皆さんは挿管記録をどのように残していますか? Cormack-Lehane分類 グレード1 と書いて終わりにしていないでしょうか。 実は、VLの普及に伴い、従来の分類では表現しきれない「画面では声門が丸見えなのに、チュ…

麻酔科医としての「一人前」を考える

麻酔科専門医という資格を取得すれば、一人前なのか? まずは、これから考えてみたい。 医師としての「一人前」とは、どのような状態を指すのだろうか。この問いに明確な答えを出すのは難しく、一人前の定義は非常に曖昧である。しかし、多くの医師がこの目…

麻酔科専門医の矜持

若い頃のさぬちゃん 麻酔科専門医の先は、どうする?という問いに、みなさんはどう答えるだろうか。 この問いの意味をどうとらえるかによって、その人が、資格に対してどの様に考えているかがわかる。 若い先生に話をするときに、「麻酔科専門医の先は、どう…

麻酔科医になる!

麻酔科に入って、卒後1年目の秋に大学病院からはじめて一般病院に赴任した。30年以上も前の話である。当時は、現在のように2年間の初期臨床研修が義務づけられていなかったので、卒後1年目から専門科を決めて働くことができた。しかし、卒後1年目は麻酔科医…

麻酔科臨床SUMノートの目次のヒミツ

麻酔科臨床SUMノート 作者: 讃岐美智義,内田整,森本康裕 出版社/メーカー: メディカルサイエンスインターナショナル 発売日: 2018/05/18 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 自分たちが臨床現場で持ち歩きたい臨床ハンドブックを作るという意図で…

赤チャート、青チャート、黄チャート、白チャート、緑(りょく)チャート

数研出版のチャート式数学に、お世話になった方も多いだろう。管理人も、大学入試の試験勉強では大変役立った書籍である。管理人が大学受験の頃には、赤チャート紙か存在しておらず、チャート式数学といえば赤チャートであったのだが、最近はレベル別に赤チ…

麻酔科臨床SUMノートができた! 

麻酔科臨床サブノートではない!SUMノートである。SUMとは、SanukiーUchidaーMorimotoの頭文字のSUMである。 当たり前のことではあるが、この本は3名の麻酔科医の出会いがなければできなかった。 U先生とはじめて話したのは第3回日本麻酔科学会ソフトウェア…

今日の治療薬アプリ2017(医書.jp)は神アプリ

いままでは、M2+の今日の治療薬アプリを使っていた。M2+がm3に買収されたこともあって、ちょっと薬品集アプリをさがしていたところであった。 store.isho.jp 医書.jp という医書電子書籍を発売しているサイトからも、今日の治療薬2017のアプリが発売されて…