こんにちは、さぬちゃんです。
EndNoteからZoteroへの引っ越し記事を書いたら、今度は逆方向の質問が来た。
「自分はZoteroに移ったんですが、共著者がEndNoteなんです。文献データを渡せますか」
あるあるである。
母艦をZoteroにしても、共同研究の相手や医局の標準がEndNoteという状況はしばらく続く。
結論から言うと、渡せる。
RIS形式というファイルを介するだけだ。
ただし、つまずきポイントが3つあるので、手順と一緒に書いておく。
基本手順
Zotero側(書き出し)
- 渡したい文献を選ぶ。論文1本分ならそのコレクション(フォルダ)を右クリック、全部ならライブラリを右クリック
- 「コレクションを書き出す」を選ぶ
- フォーマットは RIS を選択
- 必要に応じてチェックを入れる:「ノートを書き出す」「ファイルを書き出す」(後述)
- 保存すると
.risファイル(+添付フォルダ)ができる
EndNote側(読み込み)
- File → Import → File
- Import Option(フィルタ)で Reference Manager (RIS) を選ぶ
- Text Translation を Unicode (UTF-8) にする(超重要。後述)
- Import を押す
これで書誌情報がEndNoteライブラリに入る。基本はこれだけである。
つまずきポイント3つ
その1: 日本語が化ける → 文字コードをUTF-8に
一番多い事故がこれ。EndNoteのインポート画面でText Translationが初期値のままだと、和文文献の著者名やタイトルが文字化けすることがある。ZoteroのRISはUTF-8で出てくるので、EndNote側でも、Importで開いたダイアログの左下にあるShow Optionsを開いて、Text translation:のところを Unicode (UTF-8) を選ぶ。万が一、これを忘れて化けた状態で取り込んでしまったら、直すより消してやり直す方が早い。
その2: PDFも一緒に渡したい → 「ファイルを書き出す」+セットで渡す
書き出し時に「ファイルを書き出す」にチェックを入れると、.ris と同じ場所に添付PDFのフォルダが作られ、RISの中に相対パスで記録される。この .ris とフォルダを同じ階層に置いたまま(ZIPで丸ごと渡すのが確実)渡す。解凍した後、○○.risファイルをEndNoteでインポート(Unicode (UTF-8) を選ぶのを忘れずに)すれば、PDFのありかがNotesに書かれているので、インポートされたそのフォルダを開いて、File Attchments+で一つずつファイルを選択すると取り込まれる。少し手間であるが、できないことはない。
最悪、書誌さえ渡ればPDFはDOIから再取得できるので、致命傷にはならない。
その3: フォルダ分けは運ばれない → 単位ごとに書き出す
RISにはコレクション(フォルダ)の情報が入らない。ライブラリを丸ごと1つのRISにすると、EndNote側では全部が1つの山になる。整理を保ちたければ、コレクション単位で書き出して、EndNote側で対応するグループに順番にインポートする。EndNote→Zoteroのときと同じ地道な作業だが、論文1本分の受け渡しなら、むしろコレクション1個で済むので楽だ。
移るもの・移らないもの
| 項目 | 移る? |
|---|---|
| 著者・タイトル・雑誌名・年・DOIなど | 移る |
| タグ | 移る(EndNoteのKeywordsに) |
| ノート | 移る(チェックを入れた場合) |
| 添付PDF | 条件つきで移る(上記その2) |
| コレクション構造 | 移らない |
| 関連アイテム・保存済み検索 | 移らない |
文献タイプの対応も概ね自動だが、一部が「Generic」になることがある。渡した後に相手側で数件見てもらうとよい。
番外: Word原稿の中の引用は別問題
ここは誤解が多いので明記しておく。今回の話は「文献データの受け渡し」であって、Word原稿に埋め込まれた引用フィールドの変換ではない。Zoteroのプラグインで挿入した引用と、EndNoteの引用フィールドには互換性がなく、相手のEndNoteで「そのまま引き継いで編集」はできない。
共著者ラウンドでこれが問題になる場合の現実解は、
(1) 原稿の引用をプレーンテキスト化して渡し、文献リストの管理は主著者が握り続ける
(2) 最初から最終工程用の文献一式を今回の方法でEndNoteに渡しておき、引用の挿入自体を相手の流儀に合わせる
のどちらか
わが家の運用(初稿はMarkdown、最終ラウンドだけWord+EndNote)は後者である。
まとめ
- Zotero→EndNoteは RIS書き出し→インポートで渡せる
- 事故防止の3点セット: UTF-8指定・添付は.risとフォルダをZIPで・コレクション単位で
- Word原稿内の引用フィールドは別問題。文献データと切り分けて考える
文献管理ソフトの違いは、共同研究の障壁にはなりません。RISという共通語を1つ覚えておけば、ZoteroユーザーとEndNoteユーザーは普通に共存できます。
では、では
