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さぬちゃんの麻酔科医生活


麻酔科医としての「一人前」を考える

麻酔科専門医という資格を取得すれば、一人前なのか?

 

まずは、これから考えてみたい。

医師としての「一人前」とは、どのような状態を指すのだろうか。この問いに明確な答えを出すのは難しく、一人前の定義は非常に曖昧である。しかし、多くの医師がこの目標に向かって努力している中で、麻酔科専門医の資格取得が一人前の基準の一つとみなされることが多い。本稿では、麻酔科専門医資格の意義と、それが本当に「一人前」を意味するのかについて考えてみたい。

麻酔科専門医とは

現在、日本で麻酔科専門医資格を取得するには、厳しい条件をクリアする必要がある。日本専門医機構による麻酔科専門医研修プログラムで 4年以上の研修を修了し、以下の基準を満たすことが求められる。

  • 臨床経験の充実
    特定の症例経験数が求められる。例えば、小児麻酔25例、心臓血管手術麻酔25例など、多岐にわたる分野で経験を積む必要がある。

  • 知識と技術の検証
    筆記試験、口頭試問、実技試験の全てに合格しなければならない。

  • その他の条件
    研究実績やACLSのプロバイダーカード取得も必要である。

これらをすべて達成し、麻酔科専門医資格を取得できるのは最短で卒後7年目。これは決して簡単な道のりではない。

一人前を測る尺度としての麻酔科専門医

麻酔科専門医は、「一人前」を証明する資格と見なされることがある。それもそのはず、この資格を持つ医師は一定の知識と技術を有することが保証されているからである。しかし、果たして資格取得だけで一人前と認められるのだろうか。

麻酔科専門医の実力は一律ではない。「専門医資格を持つ=一人前」と断定するのは早計である。一人前とは、単なる知識や技術だけではなく、臨床での判断力やチームとの連携、自立した働きぶりなど、多面的な要素を含んでいると考えるべきである。

麻酔科専門医という資格は一人前を判断する材料のひとつにすぎない!

 

麻酔科医の「一人前」とは

麻酔科医は、手術室での責任を一人で背負う場面が多い職種である。そのため、「一人前」とされるには、技術だけではなく、的確な判断力と自信を持って対応できる精神力も必要である。これは、単に資格では測りきれない要素である。

「一人前」とは、周囲から信頼され、どんな状況でも冷静に対応できる存在であること。知識・技術に加え、患者やチームと円滑にコミュニケーションを取る能力が求められる。

麻酔科専門医の資格を目指すあなたへ

麻酔科専門医は、確かに「一人前」を目指す重要な一歩である。しかし、その資格をゴールとするのではなく、それを土台にさらなる成長を目指してほしい。資格取得後こそが本当のスタートラインである。経験を重ね、日々学び続けることで、本当の意味での「一人前」に近づくことができる。

「一人前」とは、曖昧なようでいて、実はとても奥深い目標である。

 

麻酔科専門医申請資格

(1) 医師臨床研修終了後,申請する年の 3 月 31 日までに満 3 年以上の機構が定める麻酔科

専門医研修プログラムを修了すること.また,麻酔科専門医研修プログラムで修練して

いる間は,麻酔科関連業務に専従していること.

※ただし 2017 年度開始の研修プログラムは学会認定プログラムのため,(1)の要件を(A)とする.

(A) 医師臨床研修終了後,申請する年の 3 月 31 日までに 満 4 年以上の学会が定める麻酔科

専門医研修プログラムを修了すること.また,麻酔科専門医研修プログラムで修練して

いる間は,麻酔科関連業務に専従していること.

(2) 申請する年の日本麻酔科学会(以下,学会)の会費を完納していること

(3) 申請する年の 3 月 31 日までに 600 例以上の麻酔科管理症例(局所麻酔を含む)を担当医と

して経験し,下記の経験症例数を満たすこと.医師臨床研修期間中に研修プログラム所属機

関で実施した症例についても経験症例として含めることができる.なお,小児と心臓について

は 1 症例の担当医を 2 人までとするが,その他の麻酔症例では 1 症例の担当を主たる担

当医 1 名とする.また,1 症例を重複して申請することは認めない.

・小児(6 歳未満)の麻酔 25 症例

帝王切開術の麻酔 10 症例

・心臓血管手術の麻酔 25 症例 (胸部大動脈手術を含む)

・胸部外科手術の麻酔 25 症例

脳神経外科の麻酔 25 症例

(4) 申請する年の 5 年前の 4 月 1 日から申請する年の 3 月 31 日までの間に,所定の実績(10

単位)があること

(5) 申請する年の 5 年前の 4 月 1 日から申請する年の 3 月 31 日までの間に,AHA-ACLS,ま

たは AHA-PALS プロバイダーコースを受講し,実技試験申請時にプロバイダーカードを取得

していること

http://www.anesth.or.jp/info/certification/pdf/nintei/senmon-new-ikou.pdf