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さぬちゃんの麻酔科医生活


米国麻酔学会の術前身体状態(ASA PS)分類に表示された具体例について

 

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www.asahq.org

米国麻酔学会の術前身体状態分類に2014年に具体例と若干の解説が併記された。

もうすでに3年が経過しているのだが、具体例については、あまり知られてはいないようだ。

この具体例については、少し受け入れがたいものもあるのだが、ASA(米国麻酔学会)が定めた分類であるので利用者である我々がとやかく言っても、決まっているものであるのでしかたない。まあ、このASA Physical Statusを改訂できるメンバーにでも入って意見を言える立場であれば改変はできるかもしれないが、現在、2014年のものが有効であるならばこれに従うしかない。

さて、その具体例なのであるが、和訳して表示するとこんな感じである。

 

ASA PS 分類 

定義 

例(これだけとは限らない 

ASA I 

(手術となる原因以外は)健常人 

健康、喫煙なし、アルコールを飲まないかすこしだけ飲む人 

ASA II 

軽度の全身性疾患を持つ患者 

(軽度の疾患のみで、実質的に機能制限がない)

現在の喫煙者、つきあい酒を飲む人、妊娠、肥満(30<BMI<40)、よくコントロールされた糖尿病/高血圧、軽度の肺疾患 

ASA III 

重度の全身性疾患を持つ患者 

(実質的な機能制限:ひとつ以上の重度の疾患がある) 

コントロールの悪い糖尿病/高血圧、COPD、高度肥満(BMI≧40)、活動性の肝炎、アルコール依存または中毒、ペースメーカー患者、中等度EF低下、定期的に透析をうけている末期腎不全、60週未満の早産児、3ヶ月以上経過した以下の既往(心筋梗塞、脳血管障害、TIA、冠動脈疾患/ステント留置) 

ASA IV 

常に生命を脅かすほどの全身性疾患を持つ患者 

最近(3カ月未満)の心筋梗塞、脳血管障害、TIAや冠動脈疾患/ステント留置、進行中の心虚血や重度の弁膜症、重度のEF低下、敗血症、DIC、定期的に透析されていない急性腎疾患や末期腎不全 

ASA V 

手術なしでは生存不可能な瀕死状態の患者 

破裂した腹部/胸部動脈瘤、進行中の心虚血や重度の弁膜症、重度のEF低下、敗血症、DIC、定期的に透析されていない急性腎疾患や末期腎不全、重症外傷、圧迫所見がある頭蓋内出血、重大な心臓病変または多臓器/系機能不全に陥っている腸閉塞 

ASA VI 

臓器摘出時の脳死患者 

 

 

https://www.asahq.org/resources/clinical-information/asa-physical-status-classification-system 

ASA Physical Status Classification System. Last approved by the ASA House of Delegates on October 15, 2014 

 

かなり、衝撃なのは肥満患者はBMI≧40でなければクラスIIIにならない。

多くの人が、高齢者や未熟児ついてPS分類を上げるのだが、年齢については明記されていない。考えて見れば、実年齢が多くたって元気であれば関係ない。

まあ、このような具体例が示されたことで、人によって判定のばらつきはなくなる可能性はある。しかし、ここに書かれていないものについては相変わらず?である。

具体例は、こんな感じという雰囲気だけでも伝わってくるので少しは進歩したのかもしれない。